就業規則のありがたみ

情報化、グローバル化、サービス経済化のもたらすものは、

「流動的に変化し続ける」「国の垣根を越えた」「不断の」競争です。

 

このような状況下では、変化への対応が遅れることが企業の滅亡に直結します。

その意味で、かつての常識「一社に一生=雇用の安定」は非常識ではありませんか?

 

これからはますます雇用が流動化することが予想されます。

それでは、雇用の流動化は何をもたらすと思いますか?

退職者が増えるという視点からお考えいただくと容易に想像がつくかと思います。

 

かつて主流であったいわゆる日本式雇用(①年功序列型賃金②終身雇用③企業別労働組合)によってつくられた雇用環境は安定を享受する代わりに人生を捧げるものでした。

将来の安定・高給を得るため、今仕事を「やらされて」も「我慢しよう」と思えたのです。

 

しかし、その「安定・高給」が保証されない状況下で

「やらされる」ことを「我慢する」ことを期待できますか?

答えは、No です。

それは、繰り返し述べているように「合理的経済人」が圧倒的多数だからです。

企業が喉から手が出るほど欲している「グローバル人材」もその例外ではありません。

「グローバル人材」はいくらでも潰しが利くので、

自分の利益が最大化できるところを常に求めています。

間違っても「会社のために」「人生を捧げて」くれるはずがありません。

言わんとしていることは、「忠誠心」を期待できない時代になったということです。

 

その現れが

・退職者による情報漏えい

・退職者による解雇無効・従業員としての地位確認の訴え

・退職者による未払い残業代請求

・退職者によるハラスメントを理由とした不法行為に基づく損害賠償請求

・退職者がライバル会社に就職した

という現象ではないでしょうか。

 

後に、実際に起きた事例を個人が特定されない形でお伝えします。

このページで言わんとしていることは

就業規則の整備(トップが率先して筋を通すことも含む)こそが

これらの予防の第一歩となる、ということです。

 

長文ゆえに飛ばして結構です。興味がありましたら下記をご覧ください。

 

情報漏えいを防ぐには、従業員の自由への制約が伴います。

USBメモリを持ち込ませない、そのために就業前に私物を検査する必要もあります。

それを決まった仕組みに基づいて行わないとどうなると思いますか?

セクハラ・パワハラを受けた、という主張をされかねません。

この点、就業規則に服務規律とその根拠を明示すればその主張を退けられるでしょう。

 

変化に対応するにはチャレンジしかありません。

しかし、チャレンジしようとする人の揚げ足を取り、ケチばかりつけて

「自分は何もしない」「評論家気取り」は会社にとって何らのメリットもありません。

そのような人を「使えないからお前はクビだ!」と言って解雇したらどうなりますか。

不当に解雇された上にパワハラを受けた、という主張をされかねません。

就業規則で解雇される場合や手順を明示し、それに筋を通せばリスクが減ります。

 

繰り返し述べているようにこの世界は「合理的経済人」が圧倒的多数です。

退職者から見れば、かつての就職先の事情は考える対象ですらないでしょう。

むしり取れるものはすべてむしり取ってしまおう」と考え、

自分の利益を最大化」することを考えるはずです。

会社としては、ルールをつくり、労働時間の管理を客観的に把握し続けていなければ

いつの間にか高額の「未払い残業代」が積み重なっているリスクがあります。

「未払い残業代」を減らす第一歩に就業規則の整備が挙げられます。

就業規則で残業が増えない仕組みを作り、時間管理を行っていますか?

 

くどいようですが「合理的経済人」が圧倒的多数である、ということは

優秀な人材はさらに自分の利益を高めるために他のステージを探し続けます。

これは、憲法上「経済活動の自由」が保証され、

それに基づき、法律上「契約自由の原則」が保証される以上全面禁止はできません。

しかし、それをある程度制約することは可能です。

これもまた、就業規則で明確なルールを定めることで退職後の損失を軽減できます。