「楽な」労務管理の実現に向けて

企業の成長とともに発生する労務管理

創業された当初は、

商品開発、営業、在庫管理、売掛金回収の状況、買掛金その他負債の返済チェック等を

お一人で全て行っていたこととお察しします。

その後、ご自身の活躍が社会に知れ渡り、出会いの機会が大幅に増えることと思います。

この場合、従前通り全て一人で行うか、人を活用するかの決断をされると思います。

人を活用する場合は、おおよそ下記の流れで労務管理が生じ、増えます。

詳細はお気軽にお問い合わせください。

 

①最初の1人目を雇う場合

最初の1人目を雇うと、雇用形態を問わず労働者災害補償保険に加入しなければなりません。

また、従業員の労働時間・日数によっては雇用保険にも加入しなければなりません。

さらに「○会社」「△財団」等の名称があれば健康保険等にも加入しなければなりません。

これらに未加入の場合、国が建替えた保険金を請求されたり罰せられることがあります。

上記の事情から人を雇った場合、必ず固定費用が発生します。

その費用を上回る収益を上げれば人を雇ったことで「プラスになった」と言えるでしょう。

 

では、人を雇ったことで「プラスになった」と言えるようにするには何が必要でしょうか。

それは、「採用戦略」です。

「採用戦略」と言っても難しく考える必要はありません。

早い話が、ありとあらゆるコスト「ヒト(=労力)、モノ、カネ、時間」をかけてでも、

「優秀な人材」を探すのか、それとも「優秀な人材」以外を有効活用するか

どちらがご自身に適合しているかを創業時から自問自答されることが望ましいです。

 

 

    「雇わない」人の活用について

ところで、「人」を「雇わない」で活用する手段をご存知でしょうか?

それが「業務委託」や「請負」という「人」の活用方法です。

 

創業するも5年後には創業した1割しか生き残れていないと言われています。

この点、倒産の原因は「販売不振」によるものが6割近くに上るようです。

参考までに中小企業庁:倒産の状況

「販売不振」は「売り上げ」が「費用」に追いつかないことによって生じます。

そして、固定的な費用がかかることで費用が膨らみます。

この点、人を「雇う」ということは年間に大きな固定費がかかることを意味します。

月17万円で人を雇ったとすれば、年間250万円程度の出費になります。

繁忙期でも、閑散期でも残業するのでなければ支出は変わりません。

そう考えるとかなり大きな出費ですね。

 

これに対し「業務委託」や「請負」の活用により繁閑に応じて柔軟な対応ができます。

人を雇うだけの体力がなければ「業務委託」「請負」という人材活用も一つの手です。

 

仮に「業務委託」「請負」による人材活用をされる場合の注意点をお伝えします。

それは、数年前に話題になった「偽装請負」についてです。

人材を活用する側と活用される側とのかかわり方次第では

「人を雇ったと同様の扱い」を受ける可能性があります。

その可能性を判断するに当たっては、下記のページを参照願います。

 厚生労働省:労働者派遣・請負を適正に行うために

 

大雑把にいえば概して下記のとおりです。

「業務委託」や「請負」は固定費用という点からは有利です。

しかし、人材を臨機応変に活用する点では不利になります。

 

②最初の1人目を雇ったときから発生する労務管理

上記の加入は一度きりですが、複数の官公庁をまたいで手続する、修正しに出向く等煩雑です。

また、この手続をすることで国に人を雇って事業を行っている事を知らせたことになります。

国は「人の命や生活」を尊び、事業主の方には適切に人を雇っているか記録させています。

例えば、

・何時から何時まで働いているか、長い時間働かせ続けていないか

・法令に則って休み(休日、休憩)を与えているか

・どのような目的で雇ったか、目的達成にむけて教育等の手段を尽くしたか

・サービス残業させていないか

・労働者災害補償保険や雇用保険その他の保険料が適切に算出されているか

・万が一事故が起こった場合に報告しているか

ということがよく問われます。

 

 私の経験では、最初の一人目の採用で様々な苦労をされる事業主の方が多いです。

おそらく、事業主ご自身の「当たり前」が従業員に浸透していない結果でしょう。

このまま従業員の人数が増えるとさらに苦労することになりかねません。

それゆえ、この時点で社内ルールの策定・運用をお勧めします。

この社内ルールの策定・運用を積み重ねるとのちに就業規則を整備する礎になります。

 

③5人以上雇えるほどご活躍されている場合

「○○会社」等のような名称であれば健康保険等にも加入しなければなりません。

仮にそうでなくても、常時5人以上雇っている場合は健康保険等に加入しなければなりません。

これには例外があります。

そして、健康保険等に加入した場合、

・給与額の変化がどれだけ波があり、頻繁か

・給与の算定の基準は何か(月給か、日給か、時給か)

・賞与を払っているか

等によって異なりますが、国に対して状況に応じて適切に報告しなければなりません。

 

④10人雇うほどにご活躍されている場合、そしてさらにご活躍される場合

結論から申しますと、「就業規則の作成」及び届出が不可欠です。

「十人十色」という言葉の通り、人は1人1人別の生き物です。

DNAの組み合わせ、幼少時代の生き抜き方等によってそれぞれ異なる成長を遂げるためです。

さて本題ですが、

このような、異なる複数の人を同じ職場で同じゴールを目指すためには何が必要でしょうか?

ズバリ、「ルール」が必要です。

 

昨今の電車内での携帯電話の用い方を見てみても、迷惑かどうかは人それぞれですね。

しかし、何が「迷惑」かが「人それぞれ」のままだと争いが絶えません。

争いだらけでも時間は経ちますが、仕事ははかどりません。

時間が経てば給与が発生します。

ルールで何が「迷惑」かを記さないと仕事ははかどらず、給与というお金が出ていきます。

それゆえ「ルール」が必要になります。

その職場における「ルール」をまとめたものが「就業規則」です。

法令によると「常時10人以上の」従業員を雇う場合に就業規則の作成と届出が必要です。

 

さらに多くの人を雇う場合は、さらに多くの労務管理が発生します。

それとともに、上記の業務が増えることになります。

つまり、創業者の方は規模が大きくなるほど「」ができなくなるわけです。

これらの労務管理が、創業者の負担を増やし、本業に力を割けない原因となりえます。